■ ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド (2019)

タランティーノによる、ハリウッドの夢継承のための、ハリウッド的勧善懲悪による、ハリウッド史の善意の改ざん。居場所をなくした影武者クリフ(ブラッド・ピット)は最後に用意された花道で、与えられた役割どうり、あのときの“終幕”を力ずくで引き直す。

それは、あのときの“出来事”への決別の儀式であり、あのときに生じた“時代の断絶”の繕い直しなのだ。

タランティーノが修復を試みたのは、1950年代以前に全盛をきわめ、もはやテレビのなかでも消滅しつつあったモノクロ的なる映像文化の矜持と、60年代後半の極彩色ヒッピー文化(新婚のリック(デカプリオ)!)に象徴された傍若無人な権威否定とのギャップ。すなわちハリウッド的市民主義としての“勧善懲悪”の系譜。

蛇足。60年代末から70年代初頭、アメリカ発のウェーブとして時代をになったニューシネマについての言及はまったくないのに、ともに大ヒットしたテーマソングである『卒業』の「ミセス・ロビンソン」がクリフ(ブラッド・ピット)の、そして『いちご白書』の「サークルゲーム」はシャロン・テート(マーゴット・ロビー)が運転するカーラジオから、ひたすら陽気に「時代の空気」を振りまきながら流れてきたのが、当時、純粋多感な映画少年で“権威否定”にかぶれつつあった私には、いたく印象に残りました。

(9月10日/TOHOシネマズ南大沢)

★★★★
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