『男はつらいよ』

 シリーズ第50作となる『男はつらいよ お帰り 寅さん』が完成したようだ。渥美清不在の中、一体どんな映画になったのかという不安はあるが、寅さんの復活はうれしくもある。というわけで、過去の作品を、見た当時のメモで振り返ってみる。あの頃の自分はこんなことを考えていたのか…。

『男はつらいよ』(69)(2009.9.18.かつしかシンフォニーヒルズ)

 

 地元、葛飾で『男はつらいよ』の第1作を見る。最初に劇場で見たのはもう30年以上も前になる。その後も、テレビやビデオなどで何度も見ているから、中身は細部まで分かっている。にもかかわらず、この面白さはどうだ。まさに笑いと涙が一緒になって押し寄せる喜びに何度も浸ることができた。

 元気な渥美清と森川信(ばかだねー、さくらまくら)、さすがの志村喬(諏訪ふ一郎)と笠智衆(バター)、初々しいてかわいくて美しい倍賞千恵子と好青年の前田吟(さくらに告白するシーンは最高)、津坂匡章時代の秋野太作、そのほか脇の脇の源公の佐藤我次郎から工員の石井愃一に至るまで一人一人が輝いている。そしてマドンナの光本幸子は子ども心にも妙に色っぽく映ったものだ。 

 最初はシリーズ化など考えていなかったのだから、「男はつらいよ」の要素がこの一作に凝縮されている。およそ1時間半なのに濃厚でテンポがいい。見終わった後、満足感でいっぱいになる。だらだらとただ長いだけでテンポが悪い最近の映画とは比べるべくもない。

 山本直純の音楽がいまさらながらいい。「スイカの名産地」(基はアメリカ民謡)、「喧嘩辰」(作詞、有近朱実、作曲、関野幾生)など既存の曲の使い方も抜群。「殺したいほど惚れてはいたが、指も触れずに別れたぜ。浪花節だと笑っておくれ、野暮な情けに生きるより、俺は仁義に生きていく」の「喧嘩辰」のオリジナル歌手は北島三郎だったらしい。

 【後記】この日のトークゲストは光本幸子さんだった。この後ほどなくして亡くなったので、今から思えば貴重な時間となった。

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